「うーわーすっごい天気…」
















列島台風事情+++土方歳三の場合。
















「外出んなよ、

「えー!ジャンプ買いに行こうと思ったのにィー」

「馬鹿、危ねェだろうが」

「テニスのつづきぃ〜!!」





夏も終わりかけたある日。

はリビングから、興味深々といった様子で窓の外を見ていた。

大型の台風の接近で、街は大荒れ。

強い風がガタガタと建物を揺らし、横殴りの雨が降り続いていた。





「すぐ!そこのコンビニだから!!」

「屋根飛んでくんぞ」

「大丈夫大丈夫」

「つーかお前ぇ軽いから、お前ぇが飛ばされるんじゃねェのか」

「んなわけないでしょ!!」

「…後で俺が車出してやるから、もう少し落ち着くまで待ってろ」

「うー…」





コンビニに買い物に出かけようとした所を土方に止められ、微妙に不満げな表情を浮かべる

ソファに座ってからも、『続きどーなったんだろ…』とブツブツ言っている。





「…暇ですよ」

「折角の暇なら、有意義に使え」

「だから有意義に読書しようと思ってコンビニ行こうとしたんじゃないですか」

「…そんなに暇なら、相手してやるよ」

「へっあーっ…そういう事じゃないですよ!!」





いじけてソファに寝そべり暇を訴えるに、土方が思い付いたように覆い被さる。

自分の上に乗って首筋に口づけていく土方を、慌てて押し退けようとする





「昼間っから笑えない冗談を…」

「お前ぇが暇だっつったから構ってやろうとしたんじゃねェか」

「構い方の種類、使い間違えてますって」





面白くなさそうな顔をして仕方なくの隣に座り直す土方に、

がすかさず突っ込みをいれる。





「…あ!」

「何でェ」

「いいモノ思い出した!!」

「?」





が声を上げ、ソファから立ち上がって自分の部屋へとぱたぱたと走っていき、

すぐに手に何かを持ってリビングへと戻ってきた。





「コレ見ましょう、土方さんv」





が持ってきたのは、レンタルビデオ屋の袋。

中にはビデオが一本入っているようだった。





「昨日借りてきてたの、忘れた」

「何のビデオだ?」

「えへへー…じゃん、貞子っ♪」

「…」





得意げにビデオ屋の袋からはビデオを取り出し、土方の前に出した。

ビデオの背に書かれていたのは、某有名ホラー映画のタイトル。

一瞬呆気に取られた土方だが、すぐにの方を見て言った。





「…お前怖ぇ映画は苦手だろうが」





そう、はいわゆるホラーモノが苦手。

いつも夏休みにやっているようなテレビの心霊特集を少し見ただけでも半泣きになる。

そんながなんでわざわざこんなものを借りてきたのか、土方は理解出来ずにいた。





「だって…見たかったんだもん」

「…」





はホラーモノが『苦手』ではあるが、『興味』はたっぷりある。

怖いもの見たさ、とでも言うのだろうか。

だからこそ、一人で寝るのが怖くなったり風呂に入るのすら怖がったりするのにも関わらず、

毎年その手の類の番組も見てしまうのだ。





「それに土方さんもいるしv」

「…今日は一人で寝るか?」

「やっやだっ!ほら、折角借りてきたんだし、見ましょう」





半ば強引に土方に言い訳をして、ビデオをデッキに入れて再生ボタンを押す。

そんなを土方はやれやれ、といった様子で見ていた。

…これから先のことは予想はつく。

きっとビデオが終わる頃には半泣きになって、自分にしがみついているのだろう。

そんなことを思いながら、自分の隣に腰を降ろしたに聞こえないように小さくため息をついた。





「…ホラ、もっとこっち来いよ」





左手でを抱き寄せ、もう秋に差しかかろうとしている

季節遅れのホラービデオ鑑賞会は始まったのだった。















「………ひ、ひじかたさ……………………」

「…だから言っただろうが、馬鹿」

「だだだだって……いやぁああああ、テレビから出てくるッ、貞子がッ…」





二時間ほど経っただろうか。

ビデオを見終わったあと、案の定はガタガタしながら土方の腕にしがみついていた。

の脳裏を先ほどの映画の恐ろしいシーンだけが何度もよぎる。

その度により一層、土方の腕を掴む手に力が込められた。





「ったく…あんなモンで怖ぇのかよ?」

「怖くないんですか土方さんは…!」

「あァ?当たり前ぇだろうが」





あんなガキの見るようなモンで――――――とため息をつきながらも、

ポンポンとの頭を空いている方の手で撫でてやる土方。

はまるで小動物の様な目で土方を見上げた。





「…所詮あんなモンただの子供騙しの映画だ。ビビってんじゃねぇよ」

「無理…」





少しだけ、借りてきた自分を恨むだった。















「ふぁ…」





その日の夜。

天気は酷くなるばかりだったので買い物にも結局出れず、冷蔵庫の中身で夕食を済ませて

その後片付けを終わらせた

大きく欠伸をして、土方の隣に座る。





「眠ぃんなら先に寝ろ、

「…土方さんは?」

「俺はまだ寝ねぇ」

「…じゃあ、起きてます」





土方の返事を聞いて、がっくりと項垂れる

本当はもう眠くて眠くて仕方がないのだが、昼間見た映画のせいで一人では寝室へ行けないのだ。

僅かな期待も打ち砕かれたため、仕方なくソファの隣で本を広げている土方に倣い

自分も読みかけの文庫本を広げてみる。

だがやはり、睡魔には勝てず。





「…オイ、本広げながら寝てるんじゃねぇよ」

「んー…」





案の定瞼が下りてきて、こくりこくりと不安定に頭を揺らしている。

そんなに気付いた土方が声をかけるものの、はもう半分以上睡眠の世界に行っていた。





、おい―――――――――――」

「やー…土方さんと…一緒…」

「あ、おい…」





ばさり、と文庫本が床に落ちる音がした。

そしてそれと同時に、隣に座っていたがついに土方に凭れ掛かる。

先程まで開かれていた大きな瞳は、閉じられていて。

完全に眠りの世界に落ちたが、そこにいた。

穏やかな寝息を立て自分の肩に体重を預けるを見ると、起こすのも気が引けて

仕方なく土方は本を閉じてサイドテーブルに置いた。





「ったく…相変わらず、ガキだな」





ふう、と溜息をつきながらも、土方の表情は優しげだ。

ちょんちょん、との頬を軽く突付きながらその可愛らしい寝顔を堪能する。





「こんなとこで寝たら風邪引くじゃねぇか、馬鹿が」

「ん…」





そう言うと土方はの体を横抱き…俗に言うお姫様抱っこ、で抱き上げた。

そしてゆっくりと、を起こさないように静かに寝室まで歩き、

ベッドの上にそっと降ろしてやる。

掛け布団をかけてやり、額に掛かった前髪を優しく払った。

少しは身じろいだものの、起きる気配はなさそうだ。





「さて…と」





の安らかな寝顔を数秒見つめてから、土方はベッドから立ち上がろうとした。

…が、しかし。





「…?」





の小さな手が、土方の服の裾を掴んでいた。

恐らく無意識なのだろう、の瞳は閉じられたままだ。





「オイ、離せ」

「むー…」

「チッ…」





手を離す様子のないに、土方は仕方なくまたベッドの上に腰を下ろした。

すぅすぅと規則正しい寝息が、土方の耳に届く。

ベッドの上に広がった豊かな黒髪を優しい手つきで梳いてやると、は安心したように笑った。





「ひじかたさん…好きぃ…」

「っ…」





無論意識は無いのだが、そのの一言に思わず顔を赤くする土方。

自分の夢でも見ているのだろうか…思わずそう、自惚れてしまう。

―――――――――本当に、可愛い事言ってくれるぜ。

口の端を上げながら、心の中でそう呟く。

そして彼は、ベッドに寝かされているの隣に自分も横になった。





「…仕方ねぇなぁ、は」





誰に言うでもなくそう呟いた後、そっと瞼の上に口付けを落として自分も目を閉じた。





外は未だ、荒れ模様。

しかし二人の心は、穏やかだった。















fin.

うーわーごめんさーい!!滝汗

ピスメ熱再燃したので、書きかけだったヤツに手をつけて完成させてみました。

現代パラレル。同棲設定?一年前のわたしよ…何書いてんだ(笑。

色々アレ過ぎてごめんなさい。似非過ぎます、土方さん…orz


05.09.13 Mia