目が覚めたら、私はとんでもなく眩しい世界にいたのでした。





嗚呼、新世界




















「…ん…?」





「ああっ、目が覚められた御様子です!!」

「マジで?良かった〜…!」

「ユーリ、あまり近づくんじゃない!この尻軽が!!」

「静かにヴォルフラム、まだ目が覚めたばかりなんだぞ」

「…」





「…え?」





洗面台の水に飲み込まれて死んだ…はずの私が、何でこのような場所にいるのでしょう。

薄っすらと開けた目にまず入ったのは、天蓋?

は?何ですかコレ?天蓋付きのベッド??



そしてまだぼやけていた私の視界は、周りを取り囲んで私の顔を覗き込んでいる人達によって

一気にクリアにさせられた。





「っ…なっなっな…えええええ!!!!!!????????」





私の目、おかしくなったんですか?

それともおかしくなったのは、私の頭ですか?





「あっちょっお姉さん、落ち着いて…!」

これが落ち着いていられるかぁあ!?





私は目を疑った。

何、この超絶美形達?

私を取り囲んでいたのは、目を覆いたくなるほどの美形達。

全部で五人。

いつものノリなら「きゃーん、逆ハーv」とか言っちゃってるかもしれないけど、

これは…これはヤバイ、色んな意味で。








「大丈夫、大丈夫だから落ち着いておれの話を…」


美形…っていうか、可愛いタイプの日本人っぽい男の子が私を慌てて宥め様としている。

とりあえず美形@としておこう。








「ユーリ!近づくなと言っただろうこの尻軽ッ!」


何やらその隣できゃんきゃん喚き立ててるのが、超美少年。

金髪の髪に緑の瞳…何これ、天使ですか?

一瞬その容貌に目眩を覚えるものの、その甲高く怒りを含んだ声に現実に引き戻された。

美形A。








「なんと…このお方、双黒ではありませんかッ!!

 ああ…その髪の毛を初め拝見した時からまさかとは思っておりましたが…

 このギュンター、一生の内にまさかお二人も双黒の方に出逢えるなんて、なんと幸せ者なのでしょう!!」


超絶美形、発見。

…なんだけど。

鼻血と涙が垂れ流しだよこの人!!??

いや、それはもう言葉で表せないほどに美しい御容貌なんですが…その…どうしちゃったんだろう、この人…?

大丈夫なのかな、と一瞬疑ってしまった。(あえてどこが大丈夫なのかは言わないけど。)

美形B。








「落ち着けギュンター、怖がってるじゃないか」


そんな取り乱しまくった超絶長髪美形を宥めているのが、爽やか系美青年。

ユーリと呼ばれていた男の子を除くと、この美形達の中で一番親しみやすそうだ。

美形C。








「…」


そして一番奥で何も言わず眉間に皺を寄せてこっちを伺っている(睨んでる、とも言う)のが、

美形D。

長い髪を後ろで束ね、腕を組んで佇んでいた。

…ヤバイ、超タイプ。

こんな時に何言ってんのって感じかもしれないけど、萌えた。心がときめいた。

私のストライクゾーンに直球ストレート200キロで投げ込んできたよこの人!!








「あっあっあの、私は一体…」

「「「!」」」





どもりながらも、なんとか言葉を口にする私。

この場にいる超絶美形達の視線が、一同に集まる。

ああ眩しいよ…目が眩む…!!





「ここは眞魔国。正式にはもっと長い名前なんだけど、今はまぁとりあえずそれでいいか」





一番普通な、日本人っぽい子が恐らく私が今いるのであろう場所を教えてくれる。

しんまこく…?ハア?

って某怒りの熱血プロレスラー的な突っ込みは置いといて、

私は今聞いた国名らしきものを頭の中で復唱してみる。

んな国名、聞いたことがない。

そりゃあ高校時代世界史の成績が良かったわけじゃないけど…

多分19年間生きてきた中で、一度も聞いたことのない国名だ。





「まったくお前と来たら、まだ国名も覚えていないのか!

 大体おまえには、魔王としての自覚がなさすぎると…」


「あー、今は良いからヴォルフ!とにかくこの人に現状を説明するのが先だろ」


「なんだとっ、ぼくよりもこの女と話すというのか!?この尻軽…」





きっと今非常に間抜けな顔をしてたであろう私を遮って、

美形Aこと例の金髪美少年が黒髪の子に向かって突っかかっていった。

魔王?尻軽?

アハハ、ちゃんよくわかんないやー…いや、マジで





「おれは渋谷有利原宿不利…じゃなくて、渋谷有利ね」

「はぁ…」

「で、こっちがヴォルフラム。フォンビーレフェルト卿ヴォルフラム」





渋谷有利と自己紹介した男の子は、隣の金髪美少年の方を向いて彼のものであろう、

名前を言った。

やたらと長かったりなんとか卿とか付いて、伯爵っぽいのは何故だろうか。

そして次に、さっきから鼻血と涙を流し続けている超絶長髪美形を見て同じように紹介する。





「こいつはフォンクライスト卿ギュンターってんだけど…

 ま、まぁちょと変わってるけどとりあえず気にしないで」





私がちょっと引いてたのに気付いたのだろうか…渋谷有利くんはフォローを入れる。





「で、こいつがウェラー卿コンラッド。あ、コンラートか」





「どちらでも構いませんよ」、と、紹介された爽やか美青年は笑って言った。不覚にもときめいた。

とりあえず、この人と渋谷有利くんが一番マトモそう…っていうか、話が通じそうだ。





「で、あっちで怖い顔してんのがフォンヴォルテール卿グウェンダル」

「グウェンダル…」





素敵なあの人の名前は、グウェンダル…

威厳に満ちた素敵な名前だわ…これが落としゲーなら、私は真っ先にあの人を狙うだろう。

渋谷有利くんに紹介された彼は、相変わらずその不機嫌そうな表情を崩さなかった。

そんな所も、攻略のし甲斐があるってものよv





「…それで」

「はっ、はい?」

「お前は誰だ」





低い、直接腰に響くような声。

あの声を耳元で直接聴かされた日には…腰が砕けて立てなくなるでしょ、絶対…!

そして射るような視線で、私をじっと見つめるグウェンダル。

駄目だ…心臓が持たない…!!





「…、と申します…」





バクバクする心臓を必死に押さえながら、名前を名乗る。

私の声は果たしてグウェンダルまで届いていたのだろうか。

だって、ねぇ?

こんな美形に囲まれたのは人生初ですから。

緊張しないわけがありません。

…あまりに美形が揃いすぎて、正直目のやり場に困ります。





…?」

「あー…うん、でいーです」





なんだか私の名前は発音しにくいらしい。

そういや渋谷有利くんも、ゆうり、じゃなくユーリ、って感じの発音だったなぁ。

片仮名っぽい発音で、私の名前を繰り返す愛しの彼。

も、萌え…!!!

おおっと危ない、鼻血が流れる寸前でした。





「じゃあ、お姉さん日本人なんだな?」

「イエス、アイムジャパニーズネー」

「おれ渋谷有利…ってさっきも言ったか。有利って呼んでよ、お姉さん」





渋谷有利くんが、嬉しそうな声で訊いて来る。

そして何故か怪しい外国人みたいな発音で答える私。

まぁ、日本人同士仲良くやりましょう…っていうか、そう言えばこの状況は一体何なんだっけ!?





「それで、何故私はこんな美形な方々に囲まれているんでしょうか。

 とりあえずさっき間抜けにも洗面台で溺れ死んだ気がするんですけど…

 死後の世界ってこんな素敵な人達がお迎えに来てくれるんだ?」


「いや、死んでないって!」





じゃあ何!

ホストクラブか!?

問題なのはどうして私がこんな御立派なベッドに寝てて、そして周りを超絶美形達が囲んでいるのかって事。

明らかに、死んで天国に辿り着いたかもしくは夢を見てる状況。

私の妄想は、ついにここまで来てしまったんですか。





「さっきも言ったけど、お姉さんは眞魔国っていう国にいるんだ…

 ごめんね、おれを呼ぶときに手違いがあって一緒に呼んじゃったみたいなんだ」


「はぁ…」


「で、この眞魔国は国民が人間じゃないって言うか…魔族なんだけど」





そりゃそうだろうねぇ、こんなに美形揃いなんだもの。

人間であるはずがな…いいいいい!!????





「まっまっま、魔族ぅうう!?」





SAY SAY セェエエーイ有利くん!

まぞく?間族…魔族!?

ちょっと待ってよ、いくら夢にしたって話が飛びすぎてないかい有利くん!

まず人間じゃないって、どゆことよ。

確かにこの美形っぷりは尋常じゃないわよ!?

だけど!

だけどさすがに人間じゃないとか…人外ってのは、なしでしょ!!?





「落ち着いてってばぁっ、おねーさん!!」

「仕方ないですよ陛下、無理もない」

「あーもうコンラッド、おれ上手く説明できないから代わって…」

「陛下が日本人ならご自分で説明するって、張り切ってたんじゃないですか」

「陛下って言うな、名付け親」

「はいはい、ユーリ」





慌てふためく私を見て、ついに有利くんが説明役をコンラートさんにバトンタッチ。





「本来ならば陛下だけ、お連れするつもりだったんですが」

「今回ばかりはウルリーケも、予測できなかった事態なのです」





うるりーけさん、とは一体どなたなのでしょう。

説明役を渡されたはずのコンラートさんではなく、そうこく、がどーのこーの言いながら

さっきまで隣で涙とか(その他諸々色んな汁)を流していたギュンターさんが急に横から喋りだした。





「この眞魔国に我々が陛下をお呼びする時以外、陛下や様の世界から誰かが出入りするなど

 本来なら有り得ない事なのですが、今回は何故か様もお連れしてしまったのです」


「はぁ…」


「しかし不測の事態とはいえ、様は双黒をお持ちでいらっしゃる!

 もうそれだけで、あなた様は気高き魔族!!この眞魔国に突如現れたかとて、何一つ疑問はありません!!

 ああ、それにしても何とも美しい漆黒の御髪、瞳…陛下に勝るとも劣らない、素晴らしい双黒です…」





…と、力強く言い切ったところでギュンターさんはうっとりとした表情で何やら黒がどうのこうの言い出した。

黒髪…は、つい先月まで茶髪だったのをバイトの為に黒く染めたから。

(まあ、日本人だからもともと黒なんですが)

黒目は、カラコンでもしない限り変えようがない。

こんな日本人っていうかアジア人ならならごく当たり前のことに、なんで彼はこんなにうっとりしてるんだろーか…


っていや、そうじゃなくて!!





「ここは何処だと言うんですか!!」

「だから、眞魔国」





真顔で答えるコンラートさん。

陛下(この場合、有利くんを指すらしい)と私の世界じゃないの?

待ってよ、ここは地球じゃないっての?





「その通りですよ」


「そうなの…って、人の心を読むなぁあ!


「面白い方だなぁ、さんは」


「コンラッド、笑ってる場合じゃないって!」


「でも陛下、こういう時こそ笑わないと、不安になるんじゃないですか?」


「っだぁああもう!とっ、とにかく!おれ達のいた世界とここは、全く別モンなんだ。

 いつ帰れるかはちょっとおれにもわかんないんだけどー…まぁ、それまでこの国にいる事になるからよろしくね!

 大丈夫、思ったほど悪いとこでもないから…っておねーさん、何してんの!?」





「…いひゃひゅないひ」





右の頬をぶにゅーっとつねってみたんだけど、痛くないのよ。

夢なら痛くない(はず)よね?

…じゃあこれは、現実だと言うのですか…?

いやいやいや!!

そんな事がある訳がないでしょう!!

きっとよーくできた夢か、妄想か…っておいおい。

ネットのし過ぎ?ゲームのやりすぎ?

…私、疲れてる?





「…グウェンダルさん」

「…?何だ」

「ごめんなさい」

「?」





ぱんっ





我ながらいい音が出せたと思う。

周りが一瞬、静まり返る。


何故かって?


…そりゃあ、私が突然グウェンダルの左頬に平手打ちしたから。





「あの、痛かったですか――――――――?」

「…」

「えと、あー…スイマセン。痛かったですか?」

「…ああ」

「…夢じゃないんだ…」





一呼吸置いて、グウェンダルがそう言うと、心の中で「orz」な気分になるのを感じた。

痛かったってさ。

…これは現実なんですか?マジですか?





「お…おめでとうございます、兄上っ!!」

「おっ、おねーさん!!?取り消すって言って、取り消すって!!」

「ぷっ…やってくれましたね」

「んなっなななッ、様ァーッ!!??」





地味に心の中でショックを受けている間に、何やら外野が騒ぎ出した。

金髪天使・ヴォルフラムくんは「おめでとうございます」とか言ってるし?

有利くんは真っ青な顔してるし?(っていうか取り消すって何を?いや、殴ったことに対しては謝るけど!)

爽やか青年・コンラートさんは噴き出してるし。

美形変人(…)・ギュンターさんは物凄く焦ってるし。


そりゃ、初対面でそのキレーな顔に平手食らわせたのは謝るけど!!

何、私そんなに悪いこと、したの…!?





「異界から来た双黒のご婦人が、兄上に求婚したぞっ!!

 母上に早速報告しなくては!!それでは失礼します、兄上、姉上!!」





きゅうこん?

球根?

…求婚?





「はああああ!!!???」





嬉しそうに去っていく金髪天使。

相変わらず真っ青な有利くん。

笑いが止まらない様子のコンラート。

いきなり泣き出したギュンター。

グウェンダルは…俯いてるせいで、表情は見えない。


…何、この有り得ない展開。

私は一体、どうなるんですか?










fin.

まるマ二話目です。

はい、いきなり求婚です。(爆)

自分で書いてて、話のノリが有り得ない…笑…


05.10.11 Mia