071:いちばんたいせつな










「環先輩!」

っ、寂しくなかったかにゃー?」

「寂しくもなにも、つい30分前に会ったじゃないですか」





月曜の放課後、第三音楽室準備室。

漆黒のグランドピアノの前に座り鍵盤に指を置いたは、

第三音楽室と準備室を結ぶ扉が開いた事に、またか…という表情を見せた。

扉の向こうから現れたのは、須王環。

通称(自称)ホスト部キング。

この桜蘭学院では知らない者はいない、理事長子息でありホスト部部長だ。

一方ピアノの前に座るは、音楽特待生としてこの桜蘭に通う一般庶民生。

つい先日、庶民と大金持ちというアンバランスな恋人となった二人だった。





「先輩部活中でしょう?お客さんほったらかしてこんなとこ来ちゃ駄目じゃないですか」

「だっては寂しくなかったのか?

 俺は恋人に会いたいというこの気持ちを抑えられなかったのだ!」

「だからって30分おきに来るのはちょっと…私も練習しにここに来てるわけですし」

「うわぁんひどいよウー!!」

「わぁっ、いきなり抱きつかないでくださいっ!!」





泣きながら引っ付いてくる環を、が恥ずかしそうに赤面しながらひっぺがす。

この須王環という男は、その王子的な外見とは裏腹に極度の寂しがり屋だ。

と付き合うようになってからそれがますますエスカレートし、

授業の合間のメールは勿論、メールが返ってこない時はの教室にまで押し掛ける。

そして放課後は、第三音楽室準備室でピアノの練習をするのところにこうして度々姿を現すのだ。





「普段一緒にいれないから少しでもといたいのに…」

「先輩…」





ピアノの脇で体育座りになる環に、は(またこの人は…)と思いながら

その背中に手を添えて慰めに入る。





は俺と一緒にいなくても平気だと言うのだな…

 この気持ちは庶民の流しそうめんのように一方通行なのだな…」

「先輩、そんな事ないですよ。私環先輩の事大好きです」

…!!」





大好き、という単語に反応し、頬を赤くして顔を上げる環。

彼にもし尻尾があったら喜びのあまり振り回していただろう。





「確かにクラスも学年も違うから先輩に会える時間は少ないけど…

 ここにいる間はすぐドアの向こうに環先輩がいるから、それだけで嬉しいんです。それに、ほら」





そう言って、ピアノの椅子の上からが何か持ち出した。

茶色くて柔らかい、彼の大切なモノ。





「この間貸してくれた、環先輩の一番大切なくまちゃん。

 先輩の部活が終わるまで私の隣にはくまちゃんがいるから、寂しくないですよ」





が第三音楽準備室を使うようになってから、

環の部活中貸し出される(押し付けたとも言う)ようになった彼のくまちゃん。

目が座ってる、と双子などには不評だが、はそのくまちゃんを練習中

ずっと自分の隣に座らせ、大切にしてきた。





〜っ!!」

「きゃっ」





嬉しさのあまりか、バッと手を伸ばしを引き寄せる環。

環に腕を引っ張られ、はくまちゃんごと彼の腕の中に抱きすくめられた。

体育座りの延長で未だ床に座る環に、膝立ちの

環の子供のような愛情表現には苦笑しながらそっと背中に手を回し、抱き返した。

そして彼の日本人離れしたさらさらの金髪に、顔を埋める。





「…ほんとはいつも来てくれて、すごく嬉しいです」












fin.

たーまーきー先輩ー!!!

ホスト部マジいい…環先輩愛…!

ついに手を出しましたが。

環ヘタレててすいません。

でもヘタレな殿が大好きv(笑)

さんの設定は、1-A在籍のハルヒと同じ庶民生。

中3の時に須王財閥主催のピアノコンクールで優勝し、桜蘭の音楽奨学生資格を得て入学。

地方出身で一人暮らし中。

勉強は中の下くらい。

実は環に負けないくらい寂しがり屋。

個人レッスン室(あるのか?(笑))の今学期分の予約を忘れたため、

第三音楽室の準備室で放課後練習する事になったのでホスト部の皆さんとは仲良し。

な感じデス!(長いよ)

また桜蘭夢書きたいです。

ええ、アニメが終わろうとも!(涙)


06.09.30 mia fujiwara