もっと、もっと欲しい
私はこんなに、我儘だったかな?
自分でも時々戸惑うくらい
あなたが欲しくてたまらないの
私は今、恋愛中毒。
恋 愛 ジ ャ ン キ ィ
「先生、いる?」
「?」
ブラック・ジャックが書斎で調べものをしていると、が扉を開け入って来た。
突然の恋人の出現に驚きつつも、ページを捲っていた手を止めて表情を柔らかくするブラック・ジャック。
も、ブラック・ジャックの姿を確認すると顔を綻ばせて駆け寄った。
「どうかしたかい?」
「…んーん、どうかしたってわけでもないんだけど…」
ブラック・ジャックは少し乱れたの前髪を優しい手つきで整えると、彼女に問掛けた。
しかし当のは曖昧に言葉を濁し、目線を足元に落とす。
それから数秒して、は恥ずかしそうにまたブラック・ジャックの方に視線を向けた。
「ただ…」
「ただ?」
「先生の姿が急に見えなくなったから…その…何か、落ち着かなくて」
頬を朱に染めながら、ブラック・ジャックを見上げてはそう言った。
両手を体の後ろで組んでぶらぶらさせ、今まではブラック・ジャックを見上げていた視線を
再びさまよわせてきまりの悪そうな様子の。
呆れたでしょ、先生、と小さく視線外したまま呟いた。
「…随分可愛い事を言ってくれるじゃないか、は」
「…バカにして」
「馬鹿になんかしてないさ。家中そうやって俺の事を探してくれてたんだろ?」
嬉しいよ、と言って優しく微笑んでから、の頭を撫でるブラック・ジャック。
はそんなブラック・ジャックの愛撫を擽ったそうに受けながら、また少し顔を赤くして
「そうやってすぐ、子供扱いするんだから」と口を尖らせた。
「悪かったな、一言くらい声をかけてから来れば良かった」
「…先生が謝ることないよ、私が勝手に探してたんだから」
「に心細い思いをさせた、俺が悪い」
先程まではの頭を撫でていたブラック・ジャックの手は、いつの間にか自身を
抱き寄せていてしっかりと離れないように彼女を抱き締めていた。
そして抱き締めたまま、の耳元で囁く。
も自分を抱き締めている腕に応えるように、ブラック・ジャックの広い背中に手を伸ばし、
ぎゅ、とその腕に力を込めた。
「良かった、先生が…手の届くところにいて」
「おいおい…そんなに俺はフラフラしてるように見えるのかい?」
「そんなこと、ないけど…」
書斎で抱き締め合ったままが呟いた一言に、ブラック・ジャックは苦笑してそう言った。
は小さな声で否定するが、何かを言いたそうな語尾に、その言葉には憂いの念が含まれているのがわかる。
「どうしたんだい?」
「…」
「俺には教えてくれないのか?」
「…ううん」
「…」
まだ少し言いづらそうな様子を見せるに、ブラック・ジャックは優しく口づけた。
ちゅ、とほんの一、二秒触れ合っただけで離れると、ブラック・ジャックはを優しく見つめて
「さぁ、聞かせてくれないか?」と小声で促した。
「…最近ね、何か私…変なの」
「変?」
数秒後、意を決したようにようやく口を開いた。
そのの突拍子もない言葉に、少し驚いてブラック・ジャックは思わず聞き返した。
「変って…何処が?体の調子でも悪いのかい?」
「違…体じゃなくて、何て言うか…そう、心の中が!」
ブラック・ジャックの質問に、顔を真っ赤にしてそう訴える。
その白い両の手は、きゅ、と自分のブラウスの胸の辺りを掴んでいる。
「ちょっとでも先生の姿が見えないと、心の中がザワザワするって言うか…すっごい怖くなって」
「…」
「でも、一緒にいたら一緒にいたですっごい心臓がドキドキして…落ち着かなくて」
「…」
「それでもずっとずっと…側にいて欲しいって、離れないでいて欲しいって思うの」
「…」
「愛情が足りないとかそんなんじゃないのに、もっともっと愛して欲しいって思って…
前はそんなことなかったのに…どうしよう、変だよね?おかしいよね?
私…どんどん我儘になってくみたい」
その大きな瞳に涙を溜めながら、は一気にそう言い切った。
胸の内の思いを全て吐き出したは、ブラック・ジャックの言葉を待つように視線を伏せた。
「」
「!」
ブラック・ジャックが自分を呼ぶ声に、はビクンと体を揺らす。
そんなの肩に優しく左手を置くと、ブラック・ジャックは残った右手での顎をくいっと持ち上げた。
そしてが「先生?」と彼の行動に何事かと聞き返す間もなくそのまま彼女の唇にキスを落とした。
最初は触れるだけだったキスも、何度か重ねられていく内にどんどん深くなっていく。
何度も舌を絡めた後、ブラック・ジャックは最後にもう一度軽くの唇にキスを落とすと
ようやくを解放した。
「はぁっ…せ…先生…?」
「…愛してる」
「なっ…」
ブラック・ジャックのその一言に、は先程以上に顔を真っ赤に染めた。
多少の事ではうろたえないも、不意打ちにも似た今のブラック・ジャックの言葉に慌て、
次に何を言って答えるべきか言葉を失っていた。
「変じゃない」
「え…?」
「それは全然、おかしい事じゃない」
をきつく抱き締めながら、ブラック・ジャックは囁くようにそう言った。
耳元でダイレクトに響く低く甘いその声に、はぞくりと体が反応するのを感じた。
「…俺も、同じだからさ」
「先生…も…?」
ブラック・ジャックの言葉に、思わず目を見開く。
未だ戸惑った表情で、抱き締められたままブラック・ジャックの方に視線をやった。
「まるで麻薬だな、は」
「…麻、薬?」
「一度の“甘さ”を知ると、もうなしじゃ生きていけない」
「うん…」
「それでもそれが“幸せ”だと感じてる辺り、俺はもう末期症状だな」
そう言って声だけで笑うブラック・ジャックに、もほっと落ち着いたように息をついた。
麻薬中毒…そんな言葉が、頭の中に浮かんだ。
一度知ってしまった極上の甘さには、もうモルヒネでさえも意味を為さない。
「先生…もっかい、キスしよ?」
の言葉に、ブラック・ジャックは無言でキスだけで応える。
その背中に、手を伸ばして。
その髪を優しく梳いて。
唇が離れると、微笑って見つめあった。
―――――――二人はそうして、甘い毒に侵され続ける。
fin.
お待たせして済みません…71000hit憂風様リクでB・J甘夢でした。
一ヶ月もお待たせしたのにこんな出来で本当に申し訳ないです;;
71000hit、そしてリクエスト有難う御座いました!!
05.09.27 Mia