アイソトープ










ゆらゆらと揺らぐ試験管の向こう あなたの横顔が見えた

正直私には何が何だかわからない器具たち。

そしてそれと向かい合うあなた。

それでも彼は、私にとってかけがえのない存在。










「何をそんなに熱心に見ているんだい?何か面白いものでも?」

「ううん、別に。ただ、きれいだなぁって」










シンプルな銀色や白に囲まれた彼は、とても美しく。

金属の器具に当たって反射した光が、彼の頬を照らしていた。

目の前に規則正しく並べられた試験管は、様々な色の液体が入れられている。

私はその試験管越しに、彼を見ていた。










「きれい、か。そんな風に思った事はなかったな」










私が見ていた(と先生が思っている)試験管を見て、彼は笑う。

本当は私が見ていたのはそれ越しのあなただなんて言えなくて、私は無言で笑った。











「いいの、私が勝手に思ってただけだから。それよりも手を止めさせちゃったね?ごめん」

「いや、俺も丁度“きれいだ”と思ったから」

「試験管が?」





「いいや…君が、だ。










思わぬ台詞に、心臓が飛び跳ねた。

慌てて顔を上げると、斜陽に当てられた先生の顔。

全て見透かしたように、笑う。










「こっち見てたなんて」

「そこの鏡越しに、お前さんの顔が映るのさ」

「すごい間抜けな顔してたのに、ひどい」

「そんな事はないだろう」










肩越しに右手の親指で指された方角に掛かっている鏡を見て、私は頬を膨らます。










「それに、ちゃんと知ってる」

「?」





が本当は、何を見ていたのかを」










時々私たちは、ずっと前はひとつだったんじゃないかと思う。

それで、いつか神様にふたつに裂かれたんじゃないかって。

考えてる事を全てお見通しなあなたは、私にとってかけがえのない存在で。

ふたりの間にはテレパシーも何もいらない。


アイソトープ、完全同位体。


いつかひとつに戻れる時が来ても、私は拒むだろう。

ひとつでいられる時間は、夜だけでいい。

あなたと私、ひとつじゃなく、あくまで“ふたつ”でありたい。















fin.

割と意味不明でごめんなさい…!!

すごく久し振りに夢を書いてみました。

あれコレ夢…?とかいう突っ込みは置いといて、とりあえずあと少しでサイト2周年なので

2周年記念ドリにしたいと思います。(エエー)

完全同位体って言うともうアビスしか思いつきませんぜ旦那。ハーッハッハッハ!

因みに「アイソトープ」だけだと「同位体」って意味です。「完全」はつきません(うぉおい!)

2006.4.13 Mia