「…ん…」





あー…朝か…窓から漏れる朝の日差しが眩しいわ…

えーと、今何時…?

あと五分と言わず三十分くらい寝たいんだけど今日は講義何限から入れてたっけな…

昼からだったら嬉し…い…


だってこのベッドすごい寝心地いいんだもん


ふわふわで、広くて…もう言うことなし…

高級ホテルのスイートルームよりも寝心地良いんじゃないかなー…(いや、泊まったことないけど)

しかもこの抱き枕、あったかいー…





! ?















お は よ う マ イ ダ ー リ ン















がばっ

そう音がするくらい、勢いよく飛び起きた。

目に入るのは、中世ヨーロッパ調のアンティーク家具。

どれもこれも高そうな調度品が、有り得ないくらい広い部屋に並べられている。

寝ていたベッドは天蓋付キングサイズ。

そして隣にいたのは…





「なっ…えっ…あっ…」





青の瞳が、濃灰の長い髪の奥から私を覗いていた。

そうだ、この人は…





「お…おおおおおおはようございま…?」

「…あぁ」





グウェンダル。

晴れて昨日式を挙げた、私の旦那様。

ベッドから上半身を起こし軽く体を伸ばした彼は、

新妻の朝の挨拶に寝起きだからか少しばかり掠れた低い声で応えた。





「…単刀直入に訊くけど何でですかね?」





何で?どうして?何があったの?

状況見分からいくと、私と彼は寄り添って寝ていたらしい。

夕べベッドに入ったときは、ベッドの端と端にいたはずなのに!(その距離約1m)

なのにどうして、今私たちの距離は0cm?

パジャマ越しに伝わる体温が心地良いZE!…なーんて、言ってる場合じゃなく。





「…お前が段々と寄ってきたのだろう」

「!」

「私は抱き枕ではないのだがな」

「〜っ…」





有り得ない。

…いや、有り得る?


そうだった。私はいつも寝るときは抱き枕完備。

だから無いと変な感じって言うか…気づけばタオルケットとか丸めて抱き枕代わりにしてたりする。

その惰性(いや、これって惰性なの!?)の結果がコレ?

グウェンダルによると、最初は端と端にいたものの私が段々と彼の方に寄って行って、

最終的には抱きついて寝ていたらしい。

そんなバナナ。


あーーーーっ、私の馬鹿ーっ!!!





「いやほんとなんて謝ったらいいか…す、すいません…」

「…構わん」

「っ、そう言えば…!!」





着衣を確認する私。

ある…うんある。

パジャマも下着もあるある。あるあるやでー松本君!

とにかく私の格好は、寝る前と何ら変わりはない(と、思う)。





「…お前の心配しているようなことは何一つしていない。安心しろ」

「えっ…す、すみません」





ハァ、と頭を抑えながらグウェンダルがそう言ったので、思わず赤くなる。

でも、まぁ…良かったのか…な?

いやでもそれって何気に女として悲しくない?(そんなに魅力ない?私)





「―――い、おい」

「ぬわっ、はい!?」

「(ぬわ…?)

 朝食の席にもその格好で行くつもりか?早く着替えてしまえ」

「あ、はい」





そう言ってベッドから立ち上がり、グウェンダルはさっさと着替えに行ってしまった。

置いて行かれた私も慌ててベッドから出て、着替えに行った。





















「おっはよーさん、よく眠れた?」

「おはようゆーちゃん、朝に素敵なサプライズがなきゃ最高だったわ」

「ゆーちゃんて…」

「あ、ゆーちゃんも私のことさん付けとかいいわよ」

「はい…?」





もう席についていた第27代魔王陛下と挨拶を交わし、私も席に着く。

グウェンダルが座りやすいように椅子引いてくれた…ちょっと嬉しい。(お嬢様気分)





「ありがとう、グウェンダル」

「…」





何も言わないところが彼らしい、のかな。





「あっ、紹介するよさ…じゃなくて、ねーちゃん!

 この子、俺の娘でグレタって言うんだ。今朝留学先から里帰りしたんだけど、よろしくな」

「初めまして、おねえちゃん!」

「わ…初めまして、グレタちゃん。可愛いね〜」





椅子に腰を下ろしたところで、ゆーちゃんが私に一人の女の子を紹介した。

ゆーちゃんとヴォルフラムくんの間にちょこんと挟まれて座った子はグレタと名乗り、

太陽も顔負けの明るい笑顔でにっこりと笑った。





「…娘?」





笑顔に押されて流しそうだったけど、ある一点に気がつく。





「ゆーちゃんてばその歳で一児のパパだったりするわけ!?ヤンパパ!?

「いや、そんなわけないでしょ」





取り乱す私に冷静に返すゆーちゃん。

いや少年よ、誰だってそこは驚くわ。





「グレタはわけあっておれの養子になったんだ。ま、追々話すからさ」

「そ、そう…」





…眞魔国に来てから驚きの連続で、わたしのガラスのハートはブロークン寸前です。





「姉上、おはようございます」

「今日も相変わらず麗しいです、姉上」

「姉…上…?」

「グウェンダルは俺たちの兄ですから、必然的にあなたは姉でしょう?姉上」





サプライズAが済んだところで、もう既にテーブルについていたもう二名が挨拶をしてきた。

にっこり爽やか笑顔が今日も冴えてるコンラートさん。

そしてあなたの方が麗しい、金髪美少年ヴォルフラムくん。

うーん、朝から眩しいわ。


でもね、ちょっと違和感。





「ヴォルフラムくんはいいとしても、コンラートさんに姉上って言われると変な感じ」

「ははっ、たしかにねーちゃんとコンラッドだったらコンラッドの方が年上に見えるしな!

 ま、見えるんじゃなくて実際何倍も年上なんだけど」





そう言って笑うゆーちゃんに、コンラートさんは困ったように笑う。





「ではなんとお呼びすれば?」

でいいですよ」

「では俺のことも、呼び捨てでどうぞ。あなたは双黒だから、陛下と同じくらい地位が高い。

 本来なら俺やヴォルフ、そしてグウェンだってあなたに仕える立場なんだから」

「姉上!ぼくもヴォルフとお呼びください!」

様ー!私の事もお忘れなくー!!」





…どっから出た、ギュンター。





「じゃあ…コンラートにヴォルフ、ギュンターにゆーちゃんにグレタ。これで良い?」

「あれ、グウェンダルは?」

「え…それは…」





突っ込むなゆーちゃん。あえて言わなかったのに。





「グウェンだけ仲間はずれ、かわいそうだよ?」





グレタが濃い睫毛を瞬かせながらこっちを見る。





「うーん…あ、でも何気に呼び捨てになってなかった?さっき」

「そう言えば昨日まではさん付けでしたね…ああ、そう言うことですか」

「え、何何?どーゆーことだよ、コンラッドっ!」





「それは…お二人が夫婦になられたってことじゃないでしょうか」





コンラートの爆弾発言(?)に、優雅〜な朝食の席が一瞬静かになる。

だけど幸い、年少組は意味を理解できなかったようで…





「えー?夫婦にならとっくに昨日の昼からなってんじゃん。意味わかんねーよ、コンラッド」

「もっとわかりやすく言った方が良いですか?」

「「コンラート!!」」





私とグウェンダルの声がかぶった。

言うな!

わかりやすくって何さ!!

あんたそんな爽やかな顔して、朝っぱらから何を言い出す気だ…!!





「…これ以上言うとグウェンダルやに怒られそうだから、やめておきますよ」





えー?と言うゆーちゃんを宥めすかしながら苦笑するコンラート。

あああ、完全に誤解されてる…。





「まーいっか…じゃ、食おうぜ。元気な一日は朝メシからってな!」





頭を抱える私とグウェンを他所に、魔王陛下の能天気な朝食の音頭が食堂に響いたのでした。










fin.

五月一日、箱マ発売記念。(えええ?)

とりあえず遅くなって済みません!!

八割は出来てたんですが、最後の最後で放置してましたorz

ようやく完成。

「結婚初夜」編の最後切ったところが切ったところだったので、

アハンな展開を期待してらした方いらっしゃったら済みません(爆)

爽やかな朝の風景を描いてみました笑!(果たして爽やかなのか…w)

とりあえず箱マにグウェンが全く出てこなくてショック。

そのショックをドリにぶつけていきたいと思います…orz


2006.05.01 Mia