ラ ビ ュ ー ・ ラ ビ ュ ー
「わぁ・・・眩しいっ!ね、先生折角だからお茶してこう?」
たまたまの学校の休みと俺の仕事のない日が重なって、
俺はに映画に連れてこられた。
よくある恋愛映画で、回りはほとんど女性客。
その空間に多少の居心地の悪さにの方をちらりと見ても、
当の彼女は映画に夢中。
そんな俺に気付いてくれる事もなく、時々目なんか抑えながら
視線はスクリーンに釘付けだ。
ようやく二時間後、俺は青空の下に解放された。
映画館を出てからがそう言ったので、俺達は近くの喫茶店に入った。
窓際の席に座って、コーヒーとミントティーを頼む。
ガラス張りの大きな窓から、太陽の光が降り注いでいた。
「でさ、やっぱり一番泣けたのはあのシーンだよね」
「そうかい?」
「もう、先生ちゃんと見てた?」
「見てたさ」
が拗ねたように聞くので、俺は苦笑いをして答えるしかなかった。
映画の話を、楽しそうにする。
あのシーンが感動しただの、あの男はひどいだのと夢中で話している。
無邪気なその瞳に、向かい側に座る俺が映っている。
「じゃあ、先生はどのシーンが一番良かった?」
「私に聞いたって仕方がないだろう」
「むー」
正直映画の内容なんて、どうでも良かった。
・・・隣にいるの横顔を見ているだけで、精一杯だったから。
真剣にスクリーンを見つめ、その場面に一喜一憂してコロコロと変わる表情。
それを見ているだけでも、俺は十分楽しませてもらったぜ?
「おまえさんは、楽しかったかい?」
「それは、勿論」
「なら良かった」
俺がそう言って笑うと、も嬉しそうに笑った。
たったそれだけの事でも、それがとても嬉しかった。
自惚れてる、と言われようとも、に愛されてる・・・そんな実感がして。
・・・俺も相当、に惚れてるな。
昔から考えれば有り得ない心理にも、最近はごく当たり前の事のように受け止められる自分がいた。
「・・・先生?」
「ん・・・ああ、済まない」
そんな事を考えてたら、がとても真面目な顔をして俺を見ていた。
「ごめん・・・私、うるさかったね」
「いや、そうじゃない」
「じゃあ、何か悩み事?」
「・・・大した事じゃないさ」
「・・・」
楽しそうに話すの前でそんなくだらない事を考えるなんて、俺はよっぽどの馬鹿だな。
・・・はいつもいろんな事を話すが、だからと言って周りの空気を読めない訳じゃない。
むしろ逆に、そういう所に関しては過剰な程に敏感だ。
常に相手の気持ちを読み取って、細やかに気を配っている。
そんな所も、俺がに惹かれた一因かもしれない。
「・・・そう言えばさ」
「ん?」
「先生は、どうして私なんかをあの家に置いてくれたの?」
「・・・急にどうしたんだい?」
「ただ何となく、だけど。別に本間のおじさまに頼まれたからって、
断れば良かったじゃない?先生って、割と嫌なものは嫌ってはっきり言うタイプだし」
「するとおまえさんは、断って欲しかったのかい?」
「そういう事を言ってるんじゃないけど・・・」
が急にそんな話を持ち出すもんだから、少しだけ驚いた。
「ねぇ先生、どうして?」
「どうして、と言われてもね・・・」
正直な理由を言いづらくて、俺は苦笑した。
はぐらかそうとしても、の目は真剣そのものでそうする事を許さない。
「・・・本間先生の頼みだ、断れないさ」
「・・・そう」
どうしても本当の事を言えなくて、俺は返事を誤魔化した。
そう言った直後、の声のトーンがほんの少しだけ下がった。
・・・俺はまた、くだらない事でを傷つけちまった。
を置いた理由は、そりゃあ本間先生への義理もある。
その後ピノコの思いも聞いたし、初めの内は確かにそれだけの理由だったかもしれない。
だがそれから本間先生に電話を入れるまでの三日間、俺の頭からの事が離れなかった。
たった一度会った少女。
ほとんど会話も無く、目を合わせたことすら数回。
それなのに、朝も、晩も・・・暇さえあれば、俺の脳裏にどこか寂しげに椅子に座っていた
の姿が浮かんできた。
結局はそれが「一目惚れ」である事に気付くまで・・・いや、俺がそれを認めるまでに三日を要した。
今更この歳で俺が、あんな少女に一目惚れをしたなんて言えるか?
言える筈がないじゃないか・・・例え相手が、その本人だって。
そんなくだらない見栄が、結局は今こうして彼女を傷つけてしまった。
意味の無い適当な言い訳に、は悲しんだ。
「・・・なぁ、」
「さ、そろそろ出よっか?ピノコちゃんも待ってることだし」
「・・・ああ、そうだな」
俺が今の台詞を取り消そうとしたら、はそれを遮って話題を変えた。
先程見せた悲しげな瞳を隠し、笑顔を作る。
・・・そして俺は、また本当の事を言うチャンスを逃してしまった。
「・・・せんせ、手繋いでいい?」
「・・・今、か?」
「・・・駄目?」
喫茶店を出て、駐車場までの距離。
さほど遠くはないが、俺達は並んでその道のりを歩いていた。
「帰ったらじゃ、駄目かい?」
「・・・それって、意味無いじゃん」
「すぐ駐車場まで着くじゃないか」
「・・・馬鹿!!」
別にと手を繋ぎたくないわけじゃないが(むしろにならいくらでも触れていたい)、
やっぱりその・・・照れくさいものがある。
そうしての問いにやんわりと否定しようとすると、
はそれから車に乗り込むまでの間ずっと、その事についてずっと俺に説いて話した。
手を繋ぐことの大事さを、すごく真剣に聞かされる。
・・・済まない、と思いながらもやはり結局今は、に触れられなかった。
「・・・先生、今日本当に楽しかった?」
「ああ、楽しかったよ?」
「だってさ・・・何かたまに上の空だったりしたんだもん」
「そんな事」
「じゃあ何で?手だって繋いでくれなかったし、っ」
楽しくない筈が無い。
俺はといる時が、一番の安らぎを感じているんだから。
ただまだ、上手く表に出せないだけであって・・・俺が彼女を愛している事には変わりがない。
・・・だけどは、目に見える愛情を欲した。
それは彼女が、幼い頃からそれに飢えていたからかもしれない。
「・・・その程度の事で、悲しまないでくれよ?」
「っ・・・だって、怖い、んだもん」
「・・・怖、い?」
「だって先生、私から誘わないとどこも一緒に行ってくれないし
必要なこと以外喋ってくれないし・・・最初に好きって言ったのも私だし!!
本当は・・・本当は、私のこと」
「・・・愛してる」
「え・・・?」
「、俺はおまえさんが好きだよ?」
泣き出しそうなを前に、俺はやっと自分の本音を曝け出すことが出来た。
今更遅い、彼女への想いを。
「っ・・・嘘・・・」
「嘘なんかじゃない」
「・・・」
「・・・おまえさんが初めて好きだと言ってくれた時、俺は本当に嬉しかったんだぜ?
本当はおまえさんに初めて会った時から、惹かれていたんだから」
「それって・・・」
「一目惚れ、してたんだ」
泣き出しそうなが、今度は本当に泣き出した。
渋滞に捕まった車の中、俺の隣で肩を震わせ泣いている。
「・・・どうしても、言えなかったんだ」
「っ、良かっ・・・たっ・・・私、本当に先生に好かれてなかったらどうしようって、ずっと」
「済まない、不安にさせて・・・」
「先生、大好きだよ・・・?」
「ああ、俺もさ」
助手席の方へ身を乗り出し、の唇にそっと口づけた。
彼女を泣かせるくらいなら、もっと・・・もっと早く、素直になっているべきだった。
俺のくだらないプライドよりも、の涙の方がずっと重いのだから。
・・・こんなに一生懸命愛してくれているおまえさんを、もう二度と不安になどさせない。
いるはずもない神に、俺はそう誓った。
終☆わ☆れ
Inspired by ポルノグラフィティ"ラビュー・ラビュー"
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新年二発目は、ポルノでイメージ曲ドリ第二弾@ラビュー・ラビューです・・・ああ、相変わらず似非・・・!!(涙)
今回のイメージソング(笑)はこの曲。大好きです、ラビュー・ラビュー。
年末あたりからちょこちょこ書いてて、やっとアップできた・・・って感じです;;
この曲もかなりわたしの中では上位です・・・というか、ぶっちゃけタマの書く曲が好きなんですよ実は。
ああっ、決して本間さんや他メンの曲が嫌いという訳ではなく!!(汗)
何だかポルノの歌はB.J夢が書きやすい今日この頃です。
っていうかB.Jに限らず、男の人の心情を上手に表してるかなー、と。さすがハルイチ氏ですな!(笑)
ああでも本当この先生ヘタレだ・・・こんな照れて下げるタチの人じゃないでしょう・・・;(滝汗)
マガの先生とはまるで別人・・・ま、まぁとりあえず付き合い始めの頃の話なので・・・!(言い訳するなァアア!!)
先生の台詞の中の一人称も、「私」から最後は「俺」へと変化してたり。
原作でも人前では「わたし」、素が出た時(笑)は「おれ」になってますしネ。
さんの前では、素の先生に戻る、という事で・・・!!
あああああ、駄文誠に申し訳ありませんでした・・・!!!!!m(__;)m
05.01.05 Mia
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