「ちょっとキリコ!!あんたまた爪切りしまう場所変えたでしょ!!」

「変えたってお前・・・通帳と同じ引出しにしまっておくか普通!!

 そういうものは綿棒とかと一緒の引出しに入れておけッ!!」

「うーるーさーいー!!私はあそこじゃなきゃやなのッ!今すぐ戻せー!!」

「あーもうわかったッ、わかったから黙らんかーッ!」










 
恋 愛 主 導 権










俺はこんな感じで、毎日こいつに振り回されている。

・・・10歳も年下の、恋人に。

自分だって情けないとは思ってるさ。

だけど、敵わない。

・・・少しだけ、ブラック・ジャックの気持ちがわかったような気がした。

(だが俺は断じてロリコンなどではない)





「ねーキリコ、折角休みなんだからさ、どっか行こうよ?」

「折角の休みにまで出掛けるのはごめんだな」





甘えた口調で言ってきたって、俺は流されんぞ。

大体この年末に出掛けたって、どこも人だらけに決まってるじゃないか。

人ごみ+の相乗効果だ・・・余計疲れるだろうが!

たとえ『親父くさい』と言われようとも、俺は休みは家でゆっくり過ごしたいんだッ!!

・・・それに、口が裂けても言えないが・・・

折角の休みくらい、と一緒に二人でゆっくり過ごしたいんだ。

絶対に何があろうとも言えないがな。

そんな事を言ってしまったら、こいつは増々調子に乗って俺をからかうし

俺の『死神の化身』の呼び名が泣くだろう。

だがはそんな俺の心中お構いなしに、『お願い』モード全開で俺を見る。





「ねぇキリコ・・・駄目?お願いだからー・・・」

「駄目だ、絶対に行かん」

「せーっかく夜、サービスしてあげようと思ったのになぁ・・・?」





なっ・・・何ィッ!?

・・・俺は騙されん、騙されんぞ・・・!!

いくらそんな甘い誘惑をしようと・・・俺は負けんッ!!





「何でも言う事、聞いてあげるのに・・・」

「やめなさい、・・・」

「ねぇお願い、キリコぉー・・・」

「ぐッ・・・」





いつの間にか俺の隣に寄り添って懇願する

手を俺の太腿の上に乗せ、顔を近づけて耳元で囁く。

・・・・・・全てはの計算だ・・・耐えろ、耐えるんだ俺ッ・・・!!!





「・・・だめ?」

「・・・・・仕方のない奴だ」

「やった、マジで!じゃぁ準備してこよーっと♪」

「あっちょ待・・・、オイ!?」





・・・俺は馬鹿だ。

またしてもの罠にはまってしまった。

どうしてこうも、俺はこいつの願いを断りきれないんだ。

大体まだ小娘の癖に、どこであんな色仕掛けを覚えてきたんだッ・・・!

は俺のOKの返事を聞くなりすぐに立ち上がり、上機嫌で自分の部屋へ駆けて行った。

俺はそんな彼女の腕を掴む間もなく居間に取り残され、自分の意志の弱さを嘆いた。





「お待たせキリコ、行こっか」

「あ、ああ―――」

「へへっ、似合う?」





数分後に俺の前に姿をあらわしたは、ピンクのワンピースの上に白いファーのジャケットを身に纏っていた。

・・・ちなみにどちらもつい先日俺がこいつに買わされたものだ。(お陰で何人もの福沢諭吉に別れを告げさせられた)

嬉しそうにドアのあたりに立って、俺の方を見ている

普段は気が強くて我侭も言いたい放題のだが、たまに見せるまだ少女らしい、こんな仕草が可愛らしい。

・・・惚れた弱み、とでも言うのだろうか。





「・・・ああ、よく似合ってるさ」

「ありがと、キリコ」

「さ、行くぞ。早く車に乗りなさい」





そんな彼女を見ている内に、休みにまで人ごみの中に連れ出されるのもどうでも良くなってしまう。

・・・そんなんじゃいかんぞ、俺、と思いながらも

とりあえず今日はもうこいつに一日付き合ってやる覚悟を決めて、車に乗り込んで道路を走る。

助手席ではが楽しそうにカーステレオに合わせて鼻歌を歌っていた。





「なぁ、今日はどこへ行くんだ?」

「決まってるでしょー、パルコ!それでその後はケーキ食べたーい」





ファッションビルの名前を挙げる

・・・ああ、あそこか。

確か前にもこいつに連れて来られて、服やら靴やらを大量に買わされたな・・・。

また今日も、どうせ支払いは俺なんだろう。

俺はなんだ!?

お前の財布か!?

・・・まるで援助交際ではないか・・・。

いや、そんな事はないと信じたい。

俺達の間には愛があると信じたい・・・。





「なーにぶつぶつ言ってんの?」

「あっいや、なんでもない・・・」

「?変なキリコ。あ、そこ右折だよー」





心の中で考えていたつもりだったのに、どうやら口に出ていたらしい。

危ない危ない・・・どうやら辛うじて内容までは聞き取れなかったようだ。

あんな事を聞かれたら、俺はもう二度と世間に出て行けないだろう・・・。

そうこうしている内に、目的のビルに到着する。

近くの駐車場に車を停めると、は「早く早く!」と言いながら俺の腕を引っ張ってお目当ての階まで行く。






「ねーこれ可愛くない?どうかな?」

「ああ、良いんじゃないか」

「じゃーこっちは?ねぇキリコー」

「似合う似合う。もう好きにしろ・・・」

「やったー!!」





・・・俺はまだ買ってやるとも何も言ってないんだが・・・

はもうその気満々で試着をし、俺に買わせるらしい服を次々に選んでいく。

古着のようなものから、短めの丈のワンピースまで・・・

いや、似合う似合わないは問題ではなくてだな・・・(たとえ馬鹿と言われようとも、はどれを着ても似合うのだ)

頼むから、露出の多い服は俺の前以外では着ないでほしい。

特にブラック・ジャックの前でなど論外だ。

ああっお前そんな肩の出るようなセーターを選ぶな!!

そのワンピースも胸が開きすぎだァアア!!!!





「・・・、その服はちょっと・・・」

「ちょっと・・・何?」

「いや、なんでもない・・・」





さすがに刺激的過ぎやしないかと言おうと思い声をかけたが、

笑顔で睨み返されて何も言えずに終わった。

若い女はどうしてこうも服にこだわるのだ・・・俺には理解できん。





「じゃ、こんなモンで」

「いくらだ、・・・」

「お会計お願いしまーす、店員さん♪」





また俺の財布から、福沢諭吉が何人も旅立って行った。

別に金に困っているわけではないが、どうして同じような服にこれだけ金をつぎ込むのかと思うと

少しだけ虚しくなった。

次の店、その次の店でも同じようなことを繰り返し、は上機嫌で帰りの車の中にいた。

後部座席には、大量の服屋の買い物袋。

ビルを出た後もちゃっかりケーキを奢らせ、今に至る。





「今日は楽しかったねぇ〜、キリコv」

「・・・そうかい」

「あれっキリコは楽しくなかった?折角のデートだったのにぃ」

「・・・」





デート。

あれがお前の考えるデートなら、俺の考えるイメージと大幅な違いを持つことになるぞ。

荷物を持たされ、次から次へと服屋を連れまわされ、会計をさせられ。

・・・今日一日の、貴重な俺の休みは一体どこへ消えてしまったというのだろう。

少し不貞腐れている俺に構わず、は喋り続ける。





「また行こうね、デートv」

「二度と行かん!今度の休みこそ、一日中家から出ないからな」

「えー!?そんな事言わないでよ〜!!」

「嫌だ、絶対行かん」

「ちぇーっ、キリコの馬鹿」

「好きに言え」





どうせこれだけ言っても、次の休みもこいつに振り回されるんだろうけどな。

今だけでも、少しは俺に我侭を言わせてくれ。

・・・隣の助手席で、膨れっ面してるが可愛いと思ったのは秘密だ。





「あ、ねぇ晩御飯はケンタッキーが食べたいキリコ」

「我侭言うな」

「ていうかレンタルビデオ屋寄らない?キリコ」

「面倒臭いから却下」

「一緒に見ようよキリコー、新しい映画ー」

「また今度な」





とにかくもう今日はさっさと家に帰って飯を食って(も食って)寝てしまいたかった。

次々に話し掛けてくるに、短く一言で返事を返す。





「ねぇキリコ」

「今度は何――――――」

「キスしてあげる」

「!」





信号で止まったその時、が俺の方に身を乗り出してキスをした。

柔らかいの唇の感覚が、俺の頬に触れた。





「な、―――――」

「・・・大好きだよ、キリコ」





・・・ああ、もう完全に俺の負けだぜ。

これだから俺は、こいつから離れられないんだ。

そう言って微笑むの顔を引き寄せて、もう一度キスをした。

今度は、ちゃんと唇で捕えて。





「・・・馬鹿」





俺もお前も、馬鹿だけどな。

だが、いくら振り回されようと、何だろうと・・・

主導権の問題ではなく、愛し方の問題だ。

お前の愛し方についていけるのはどこを探したって俺しかいないと思うぜ?

だからこれからも、お前と一緒にいようと思う。

これからも精々、俺を振り回してくれよ?


















終われ・・・。

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27272hitキリリク、鮭さまに捧げます。

BJのキリコ夢でシチュはお任せとの事で書かせて頂きましたが・・・すすす、済みません((滝汗))

キリコじゃないです・・・別人だよ・・・!!!(泣)

折角リク頂いたのにこんなブツしか書けなくて本当に申し訳ありませんm(__)m

煮るなり焼くなり張り倒すなり、好きにしてやってくださいませ!


04.12.26 Mia拝

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