チョコレートよりも、甘いキスを。















K i l l i n g   M e















「先生ぇ、はい、バエンタインのチョコよのさ!」

「二人で選んだんだ」

「え―――――――私にかい?ありがとう」










2月14日、St.バレンタイン。

ピノコとは、満面の笑みでブラック・ジャックの前にきれいにラッピングされた小さな箱の包みを差し出した。





カルテを書いていた手を一旦止め、それを受け取るブラック・ジャック。

甘いものは嫌いではないし(むしろ好き、の部類に入ると思う)、

わざわざ自分の為に選んできてくれた・・・そう思うと、嬉しいのだが。

の“二人で選んだんだ”の言葉に少しだけ複雑な思いを抱いた。





――――――――別に、のチョコが欲しいとか。

この歳で、そんな子供じみたことを期待していたわけではないけれど。





やっぱり“本命”である恋人から直接もらえないとなると、心境は複雑だ。

しかしブラック・ジャックはそんな事は表情に出さずに、包みを開けていく。










「へー・・・すごいな」

「朝からレパート行って選んできたんらもんね、!」

「ね!」










呼応ぴったりで会話する二人を見ながら、小さなチョコレートの包みをひとつ開けて口へ放り込むブラック・ジャック。

それを見ると、ピノコは目を輝かせて「先生美味しい?美味しい?」と聞いた。










「ああ、美味いよ。ほらピノコ、ひとつやるよ」

「ワーイ!!」

は?」

「いいよ、ダイエット中だし」

「そんな事しなくてもじゅうぶん細いよのさ」

「乙女はグラム単位で気にするのよ・・・!」

「ええっ、そうなの!?ピノコもまだまだよのさ・・・」










ブラック・ジャックからもらったチョコを頬張りながら、を尊敬の眼差しで見つめるピノコ。

実際グラム単位で気にしているわけなんてないのだが・・・最近は何かと

“女性”としての手本にすることが多くなっていた。










「じゃあ先生、お仕事頑張ってね」

「ピノコはもう寝まちゅ・・・」

「ちゃんと歯磨くんだぞ、ピノコ」










はぁ〜い、と欠伸混じりに言いながら診療室を出て行くピノコと

ブラック・ジャックはそんな二人の後姿を見送りながら、先程の複雑な気持ちも忘れて再び机に向かった。















 * * *















「ん・・・電気がついてる・・・?」

「あ、先生。お疲れ様」

!まだ起きていたのか」










あれから数時間後、すべてを終わらせたブラック・ジャックが居間へ向かうと

そこにはパジャマ姿で本を読むの姿があった。

もう夜も遅いのに一体どうしたのか、と思いながらの近くに行くブラック・ジャック。










「こんな遅くまで、何やってるんだ」

「先生、待ってたの」

「用事があったなら部屋へ来れば良いじゃないか」

「だって、邪魔しちゃ悪いと思ったし・・・」










まったくおまえさんは、と溜息をつくブラック・ジャック。










「そんなの気にしなくていい。で、どうしたんだい?」

「・・・ごめんなさい。あのね、これ」

「これ、は――――――――――」










から手渡された、小さな箱。

きれいなラッピングに、少しの重み。





中身なんて、容易に想像がついた。










「チョコならさっき、くれたじゃないか」

「あれは私とピノコちゃんの二人からの分。・・・これは、私ひとりからの分」










少し顔を赤らめて、恥ずかしそうに微笑む










「自分で作ったから、さっきのお店のチョコほど上手に出来てないけど・・・

 ・・・もらって、ください。恋人からのチョコとして」

「・・・ありがとう、嬉しいよ」










まさか、からもらえるなんて予想もしていなかった。

突然待ち受けていた出来事に、素直に喜んだ表情を見せるブラック・ジャック。

そんな彼の様子に、も嬉しそうに微笑んだ。










「開けて、いいかい?」

「うん」










包装紙を丁寧に剥がし、中の箱の蓋を開けるとそこには・・・少し手の込んだ、トリュフのチョコレート。

丸い球形のチョコが数個、箱の中に入っていた。










「すごいな・・・いつのまにこんなの、作ったんだい」

「家で作ったらバレちゃうから、この間友達の家で」

「そうか」










自分でも気付かない内に、見事に顔が緩んでいるブラック・ジャック。

患者が、そしてキリコが今の彼を見たらどう言うだろう。

それ程までに、今のブラック・ジャックからはいつもの“孤高”の雰囲気が消えていた。










「別に、無理して今食べなくてもいいからね。もうこんな時間だし」

「いや、今食べよう」










箱の中からひとつ、チョコレートを取り出して口へ運ぶ。

甘い甘いチョコレートが、ブラック・ジャックの口の中でゆっくりと溶けていった。





感じるのはほのかな洋酒の香りと、ほろ苦いココアパウダーの味。

そしてそれをも凌ぐ、上品なチョコレートの甘み。

チョコレートの甘さと、幸せが彼の中を満たしていった。










「・・・ど、どう・・・?」

「すごく、美味いぜ」










心配そうに問い掛けるに、ニッと悪戯っぽい笑みを浮かべるブラック・ジャック。

そんな彼の答えに、は安堵の表情を見せた。










「良かったぁー・・・やっぱり、普段とは違ってこういうの、緊張する」

「そんなに心配するもんでもないだろう。の料理、いつも美味いし」

「でもなんかこういうイベントだと、失敗出来ないなっていう」

「俺の医者の腕に“失敗”がないように・・・おまえさんの腕も、俺が保証するぜ?」

「まーたそういうこと、言う」










ふふっと、嬉しそうに笑う

ブラック・ジャックの隣に座り、自分の作ったチョコレートを食べる彼を幸せそうに眺めている。










「・・・、いい事を思い付いた」





「へっ?」










が言葉の真意を理解する間もなく、ブラック・ジャックはの柔らかい唇に口付けた。

・・・その唇に、チョコレートを咥えて。










「んっ・・・―――――ふ、あ―――――――・・・先生ぇ、何す・・・」

「甘い、だろう?」










少しだけ唇が離れた隙に、器用にチョコレートを二つに割るブラック・ジャック。

二人のキスで少し表面が溶けたチョコレートが、お互いの口の中に半分ずつ残されていた。










「・・・甘すぎ」

「もう一つ、どうだい?」

「・・・いただきマス」










先程と同じように、箱の中からチョコレートをひとつ取り出して口に咥え、

の唇へと運ぶ。

二人分の唾液と体温で、ゆっくりと溶けてゆくチョコレート。

何度も唇を重ね、貪り合う度に少しずつ少しずつ小さくなっていった。










「ん・・・ふぁ、んぅっ・・・・」










の甘い吐息と、絡み合う水音だけが響く部屋。

またひとつ、ふたつと箱の中からチョコレートが消えていった。










「こんなんじゃ足りない、だろ・・・?」










頬を朱に染めるを見ながら、その顔に妖笑を浮かべるブラック・ジャック。

そうしてまた、に口付けた。





普段よりも何倍も甘い、蕩けそうなキスを。










・・・可愛い・・・」

「はぁ、っ―――――――――んっ・・・」










角度を変える度により深く、甘く交わっていく口付け。

飲み込みきれなかった唾液が顎を伝うのも気にせず、

何度も何度も口腔を犯していった。

はもどかしそうに、ブラック・ジャックの背中に腕を回す。





そして気付けば、箱に入っていたチョコレートはひとつ残らず消えていた。





残されたのは息を上げながらブラック・ジャックにもたれ掛ると、満足げな笑みを見せる天下の無免許医、ブラック・ジャック。










「・・・もう、先生のバカ・・・」

「バカで結構。さて、じゃあ今度は唇だけじゃなくて自身をいただこうかな・・・?」

「っア、ひゃぁんっ・・・先生ぇっ!」









全身の力が抜けたはもう、ブラック・ジャックの為すがまま。

この後も二人の甘い(そして激しい)時間は過ぎていき、初めてのバレンタインの日は終わりを迎えたのだった。





翌日のに残されたのは、たくさんの紅い愛の証と、ひどい腰痛だったととか。

















fin.


・・・いや、本当ごめんなさい・・・!!!!(爆/切腹ゥウウー!!←早ッ)

もっと前から書いてたのですが、一日前にようやくアップまで漕ぎ着けました。

連休はPCがいじれなくて困るよ・・・本当はもうちょっと早くアップしたかったorz

目指したのは「砂糖吐ける位の甘夢」です。(死)

折角バレンタインですし!(だからってあなた・・・)

クリスマスに続いてイベント夢がアップできたのは自分でも驚きです・・・

こんなん初めてやわー・・・(ジョー●アCM風。笑)。

一応2/21までフリーなので、お気に召した方はお持ち帰りください☆;"。.+:*(超いらん)

タイトルby LA'rc〜en〜Ciel。ラルク愛してるYO!

サビの“壊れそうなくらい 甘く口付けて”ってとこから萌え閃き(笑)。

今回は微エロというかなんと言うか・・・キスに重点を置いてみました。

シャラララすーがおにきーぃっす・・・(樺地?忍足?笑)


2005.02.13 Mia