ついにやって来てしまった










《 新 し い 日 々 》










くん、喜べ!彼が承諾してくれたぞ!」

「ほ、本当ですか、おじさま?」





本間のおじさんが電話を取るなり、声を上げて私の部屋(正確には客間)へやって来た。

この間訪れたブラック・ジャックと言う医者が、私を預かるのを承諾したらしい。





「良かった・・・これでわしも安心してきみをあの街に戻すことが出来る」

「ええ、ありがとうございます、おじさま」

「おぉ、済まん済まん。それでは詳しい話を―――――」





おじさんが右手に持っていた電話はまだあの人に繋がっていたらしく、

『また後で』と私に目で合図をするとまた受話器を耳につけて部屋から出ていった。





「参ったな・・・嘘でしょ、もう!」





私は頭を抱えて椅子に座る。

まさか、あの医者が本気で私を預かるとは思わなかったから。

確かにストーカーには遭ったけど、また来たら今度こそ捕まえて警察につき出せば良いのに。

私は別に一人暮らしでも平気。

むしろ一人が好き。

よく知りもしない人達なんかと暮らすのなんてとてもじゃないけど私には向かないのは、

長い施設暮らしでわかってる。

だからこそ、この間あの家に行った時に良い印象を与えないようにわざと黙っていたのに。

あの日私はほとんど喋らなかったし、笑わなかった。

普通に考えたらあっちだって良く知りもしない人間を預かるのは嫌だろうし、

ましてや無愛想な人間ならもっと嫌なはず。

あ゛〜、もう、作戦失敗!?

もっと行儀悪くするべきだった・・・!?





くん、これからの事は私が一応色々と話して、決めておいたよ。」





電話が終ったらしく、おじさんが私の部屋に再びやって来た。





「ありがとうございます、おじさま」

「いやいや・・・それで、あっちに引っ越すのは来週の火曜に決まったよ」

「ら、来週の火曜!?」





おいおいおい、来週の火曜って再明後日じゃん。

早いよ、早すぎるだろ!!

・・・なーんて思ってるのは、当然顔に出ないようにして、出来るだけ爽やかな笑顔を作る。





「ま、まだ学校に戻るには早くありません?おじさま」

「少しでも新しい環境に慣れておいた方がいいじゃろう」

「ええ、それはそうですけど・・・」

「なぁに、心配はいらんよ。わしが言うのもなんじゃが、彼はああ見えて優しい男だ。

 きっときみにも良くしてくれるさ」





いやいやいや、そーいう問題じゃなくてですね!!!

私の事を心配してくれるのは有り難いけど、

あの一人暮らしライフを取り上げられるのはごめんなのになぁ・・・。

あの家の人の事については一通りおじさんから聞いたけど、なんだかなぁ・・・。

そりゃあまぁ、おじさんがあそこまで言うんだから悪い人じゃないんだろうけど。





「そうですか、おじさま」

「あぁ、安心して学業に励むんだぞ」

「・・・はい(あーもうおじさんのバカ・・・!)」





+ + + + +





そして月日が経つのは早いもので(所詮三日なんてこんなもんよね)、

とうとうブラック・ジャックという人の家に引っ越す日がやって来た。





「それじゃあブラック君、よろしく頼むよ。何かあったら、また知らせてくれ」

「はい。では先生、お気を付けて―――――」





そうしておじさんは行ってしまった。

そりゃおじさんはそれなりに名の通った外科医だから忙しいのはわかってるけど。

・・・でも、でもね!!?

こんな知らない人の所に置いていかれた私は、どーしたらいいのよっ!!

おじさんの車をポーチで黙って見送る私と、ブラック・ジャック先生(この人もお医者さんなんだってね)。





「・・・あ、あの」

「ああ、何だい?」

「・・・本当に済みません、面倒な事になってしまって」

「え?」

「誰だってこんな子供を置いておくのは嫌でしょう?

 おじさまには一人で大丈夫だって何度も言ったんですけど、結局・・・」





とりあえず沈黙も居心地が悪いので、謝ってみる。

すると先生は不意をつかれたように私を見た。





「すぐに新しいマンションを探して、御迷惑にならない内に

 また一人暮らししようと思ってますから、少しの間だけ気にしないでください」





最初からそのつもりだった。

もし預かられる事になっても、学校が始まる前に新しい家を探して出ていく。

勿論、おじさんには内緒で。





「わたしがそれを許すと思うかい?」

「え?」

「きみはわたしには何の関係もない子供でも、きみはわたしがただ一人尊敬する

 本間先生からお預かりしたんだ。そんな無責任な真似をするわけにもいかないさ」





彼は私の目をまっすぐに見てそう言った。

大きな傷跡が残っていても、彼が整った顔立ちなのはよくわかる。





「で、でも・・・」

「それに、きみがここへ来るのを楽しみにしてる奴が一人いてね・・・

 きみを帰してしまったら後で何を言われるかわからない」

「え―――――」





先生はそう言って薄く笑みを浮かべると、玄関の方を振り返らずに指さした。





「先生ぇー、おへやの準備、できたわのよ!」





指の先を追い掛けて振り返ると、玄関から元気な声と共に、小さな体が飛び出してきた。

小さな女の子らしい。





「そうか、ピノコ。じゃあ早速運ぶとしよう。荷物はこれだけかい?」

「あ、はい!済みません」

「気にするな」





そう言うと、先生は私の荷物が入ったスーツケースを持って家の中へ入っていく。

慌ててその後ろ姿を追い掛け、私も家に足を踏み入れた。





「ねぇねぇ、あたちピノコっていうのよ」

「あ、私は・・・」

っていうんでしょ?ピノコ先生にきいてちってるんだかや!」





廊下を歩きながら、小さな女の子が話しかけてきた。

可愛いなぁ、この子。

・・・まさか、あの先生の子供・・・!?





「よろしくね、ピノコちゃん」

「こえかやはピノコがこのおうちのこといーっぱいおちえてあげゆから、仲良くちまちょ!」

「うん、ありがとね」





満面の笑顔で私に笑いかけてくれる、ピノコちゃん。

まさかねぇ、あの先生の子って事はねぇ・・・?





「ピノコちゃんはいくつなのかな?四歳?五歳?」

「ちつえぃね、ピノコこれえも18よのさ!」

「えっ!?」

「そぇに先生はピノコのだんなたんなんらから、手ぇだしちゃいやぁよ!

 れもがどうちてもっていうなら、だいにふじんくゃいにちてあげてもいいわ」





次々に大宇宙ワードを並べられて、頭の中が・・・だっていやあのこの子、今何て言った・・・!?





「こらピノコ、余計な事を言うんじゃない。気にしないでくれさん、後で説明するから」

「あ、はぁ・・・」





ピノコちゃんを咎めるように、一瞬だけ振り向いてそう言う先生。

せっせっせ、説明って何・・・!?

おくたん・・・奥さん・・・だいにふじん・・・第二夫人・・・(ブツブツ)





「この部屋を使ってくれ。棚や机なんかは好きに使ってくれて構わない」

「あ、ありがとうございます」

「何かあったらわたしは診察室か寝室にいるから・・・ピノコの部屋はそこだ。

 わからない事があったら適当に訊いてくれ」

「はい」





通されたのは、陽当たりの良い南向きの小さな洋間。

棚と机とベッドが一つずつ置かれていた。





「荷物の整理が終わったら、わたしの部屋に来てくれ。少しだけ話があるから」

「わかりました、じゃあ―――」

「ピノコ荷物のせいり、おてつだいすゆのよさっ!」

「ピノコ、おまえは夕飯の準備だろう?それに少し彼女をゆっくりさせてやれ」

「ちぇ、つまんないんらからぁ」

「またね、ピノコちゃん」





ピノコちゃんを引きずって部屋から出ていく先生。

何かすっごい、親子な図なんですけど・・・。





とりあえずベッドに腰を下ろして鞄の中をあさって、スーツケースの鍵を取り出す。

荷物って言ったって、そんなに多くのものは入っていない。

家具やなんかは処分したし、電化製品はMDコンポとノートパソコンくらい。

後は服に学校の教科書やなんかと日用生活品だけ。

とりあえず服だけをしわにならないようにしまうと部屋を出て、先生の所へ行った。





診察室でいろんな話を聞き終わる頃には、もう夕食の時間になっていた。

とりあえずピノコちゃんは先生の子供じゃなくて、以前手術した患者の中にあったパーツから作り上げたらしい。

18年間そのお姉さんのお腹の中にいたんだから、まぁ確かに18といえば18か。

ついでにいえば、まだ奥さんではないらしい。

夕食で彼女がふるまってくれたカレーは中々美味しかった。

ご飯の後にはピノコちゃんとじゃんけんで食事当番や家事分担を決めた。

・・・いつの間にかそう簡単には出ていけない状態になっていた事に気付いたのは、

部屋に戻ってベッドの中に潜り込んだ時。

どうしてこう、いつも周りに流されてるのよ・・・。

そんな事を考えている内に、私は深い眠りの中に落ちてしまった。





これから始まる新しい生活、新しい日々。

・・・この一年、私は一体どうなるんだろう。














後書き?≠言い訳
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イエーイBJ先生夢第二弾ァアン!!(申し訳ありません管理人は今ハイの様です)

な、長かった、無駄に・・・(撲殺)

とりあえずこれで出会い・設定編は終わりです。

次からはちゃんとした夢になる・・・筈ですので!!(爆)

これからは、BJ夢は連載とかそんなんではないのでぽつぽつ単発で書いていきます。

ヒロインはこの設定で固定です。

流れ的に季節の順序を無視する事もあるかもですが、気にしないでください(爆)。

まかり間違って一年たっちゃったら嫌だからの●太とかしんのすけみたいに一生高三でいさせようかしら・・・(死)

先生とは勿論ラブラブ(死語ですか)ですがピノコとも仲良しさんになります。

ピノコ好きなんだもん、可愛くて!

今日はアニメの日・・・は、早く見たい・・・vv(現実逃避)

マイナー路線ですが頑張ります!!(やめい)

増えないかなぁ、BJ夢サイトさん・・・(かなり切実/だって自分が飢えてる(爆))


04/11/01 Mia拝。

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